国宝 正福寺地蔵堂をたずねて



東京都に国宝建造物が1つだけある(今は2箇所)
東京都にそれだけしかないとは以外だった。
それもそのはず、考えてみれば東京大空襲でほとんどの建物が焼けてしまったのだ。
東京都唯一の国宝建造物は「正福寺の地蔵堂」。東村山市にあるのだが、そのことはほとんどの人が知らない。

冬のとある日、正福寺に行った。いつでも行けるという気楽さから、まだ一度も行ったことがない。計画的に行く気に今までならなかったのである。




「正福寺の地蔵堂」国宝なのだから、知名度がないとはいえ、地元の駅につけば表示ぐらいあるだろうと思って行ったが、東村山駅についてどこにも表示がないのにはいささかがっくりした。東京都の数少ない国宝建築物に存在感がなさ過ぎである。




案内板もないのだが、地図を見てから来たので方角はわかる。ただあまりに様子が違うので、すれ違う人に道を訪ねながらたどり着いた。訪ねた地元の人も存在が薄いらしい。



  

 

 
境内は、ひと気もなく、隣にお墓もあるので、ひっそりとしていた。周りは住宅地で、正面の道の車の行き来も頻繁にあり、なんとなく国宝とは不釣合いだ。しかし、正福寺地蔵堂の建物も前に来るとさすが国宝らしい気配を感じた。やはり国宝である。

つんとせり上げた屋根は、いかにも存在をアピールしているようで、約6百年前の建物らしく堂々としている。

 

 
円覚寺舎利殿山口功山寺仏殿と同じ禅宗様式の国宝建築物で、建物自体はそれらに劣らないように思う。しかし、まわりの雰囲気や環境によってこうも違うものかと感じた。やはり街中では情緒というか雰囲気がマッチしていない。600年前の建物の歴史と周りの歴史がかけ離れているのである。

おそらく、今は、ほとんど訪れる人がまばらな街中にあるお寺であるが、その昔は、地元の人たちに守られ、敬われ、禅宗の寺院として栄えたのだろう。

地蔵堂には、千躰の手のひらに乗るぐらいの小さい木造のお地蔵さんが安置されている。毎年11月3日に公開され、地蔵祭りも行われるということである。



その時期には地元の人たちとともににぎやかになる光景が想像される。次に行くとき時は、その賑やかな時期に訪れたい。
 


異次元の環境で、屋根のさきをつんとせりだし、600年の歴史を背負う姿から、応援したくなるような気持ちにさせるそんな東京唯一の国宝建造物だった。
 

 

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