長野 大法寺三重塔をたずねて

 

春の気配が感じながら、まだまだ寒い2月の終わりに訪れた。
 


人影もあまりなくひっそりとしている。土曜日だが季節もあり観光する人もほとんどいない。
観音堂に向かって階段をあがると右に無人の建物があり、箱に100円の入館料を入れるようになっている。よほど注意しないとそちらには目がいかないぐらい、正面横の国宝三重塔に魅かれる。

 

階段をのぼると大宝寺三重塔が顔をのぞかさた


正面に十一面観音菩薩立像を本尊とする観音堂、そして西北に三重塔がそびえている。

 


高さは18.56メートル、桧皮葺の屋根で、それほど大きくないがどっしりと安定した三重塔に感じる。1層、2層、3層と上にいくにしたがって塔身の幅が小さくなっているため、安定感を感じる。案内の看板にあったが、「和様」の建築様式を正確に守られていて、地方としてはまれにみる名建築であり、国宝に指定されたらしい。

 

 正式な建立は不明であるが、1919年解体修理の際に墨書きで1333年に造営中とわかったため、鎌倉幕府滅亡の時期、鎌倉時代から南北朝時代の過渡期のいまから約680年前に建立さらたことになる。

 

長野県国宝 大宝寺三重塔



青木村郷土美術館がすぐ近くにあるので寄ってみたが、それはそれは立派な近代建築のものだ。青木村の箱もの投資であるが、なぜそこにあるのだろうか?
維持費もさぞかしかかるであろう。入場料は200円であった。私としてはこの立派な美術館には興ざめし、少し残念である。
とはいうもののそこに展示されていた説明書きでわかったが、三重塔の第1層の天井に壁画が描かれていることが判明し、正式に文化庁の依頼で、古建築壁画等復元の第一人者「馬場良治氏」の手によって模写され、平成16年に復元図が完成されたらしい。
その壁画は鮮やかで、さぞかし昔の人は見入ったであろう。

 


旅人があまりの美しさに何回も振り返って眺めたため「見返りの塔」と言われている。
そのことを聞いてしまったら、やはり振り返って見たくなる。

  背後の角度から見た大宝寺三重塔


丘の中腹に建った、周囲ののどかな雰囲気と、しっかりとした建築は、静かな村を包み込むような大きな存在感を感じながら、思わず振り返りながら丘をくだった。

 


のどかな雰囲気でした。

国宝大法寺三重塔について