松山 石手寺をたずねて



松山というと 夏目漱石の坊ちゃん、正岡子規の俳句、坂の上の雲の秋山兄弟というところだろうか。松山に行ってみるとわかるが大都会である。四国で市の人口としては1番、中国四国でも広島市、岡山市に次ぐ3番目に人口の多い都市である。市町村合併もあり人口50万以上の都市である。
 


松山市は松山城の城下町として発展した都市である。また日本最古と言われている「道後温泉」があり、温泉町としても栄えている。その「道後温泉」から歩いて30分のところに石手寺がある。歩いて15分と旅館の人に聞いたが距離的には長かった気がする。交通手段は、徒歩の他、バスもあり、また車の駐車場もたくさんあるので比較的便利で、温泉からの観光客も多い。
石手寺は、四国八十八箇所観音霊場の51番札所であり、お遍路さんの姿が絶え間なく見かけられるが、一般の観光客も多いのはそのせいであろう。
 


石手寺の文化遺産としては、国宝の二王門があるが、その他国の重要文化財として指定されている三重塔、本堂、鐘楼などの国宝級の建築物は見ごたえがある。
 

 

 


ただお寺の印象的には、それらの文化遺産の重さを感じるというより、庶民的でまたユニークな印象がする。このお寺にはなかなか離れがたい魅力がある。
 


ユニークと感じるひとつに洞窟がある。
本堂の裏に洞窟の入り口がある。初めて中に入ると真っ暗で男の私ですら不気味な感じがする。夏でも洞窟の中は涼しく、かなり距離もある。先入観なしに入ると永遠に続くと勘違いするほど長いが、明るい出口が見えはじめるとほっとして気持ちが安らぐ。奥の院500羅漢堂に通じる洞窟なので、奥の院によるとここも人気はなく、500羅漢に見つめられると不気味な気分でわずかな時間で立ち去ってしまった。
その他、「衛門三郎七転び八起き再生の石」、「もって帰ると子宝を授かる石」なども庶民的である。仏教そのものはこうした庶民の部分と比叡山・東大寺などの距離のある部分との差を改めて実感した。
 


日本一の弘法大師像
気がついてよかったという思いがあるが、実は見過ごしそうで実は見過ごさないオーラが発せられているのかもしれないが、本堂から少し右から眺めたところの少し離れた山の上に大きな弘法大師さまが下界を見守っていた。その表情は非常にやさしく引き込まれてしまう。近くまで行く気は起こらなかった。時間とか疲れとかではなくこの距離だから良いと感じたのである。
 


いろいろ話題にことかかない石手寺であったがもっといたい気持ちのまま後にした。